大正ロマンで非日常を~憧れのあの時代を旅するブログ~

華やかで儚い大正時代を味わいませんか。

*

柳広司 ロマンス

      2015/09/04

51NbrTN2cuL._SX343_BO1,204,203,200_

 

柳広司さんの「ロマンス」です。

時代的には昭和に入ってからの設定で微妙に大正ではないですが、

家族や高等警察、カフェーなど栄華と混沌が

感じられる作品でした。

 

子爵、侯爵といった華族はここ数十年で認められた人工的なもの、

にもかかわらず肩書きだけで遊び呆けている無職の華族に

一般庶民の目が厳しくなっているという時代背景があります。

 

主人公の朝倉清彬(あさくらきよあき)はそんな世論をものともせず

わが道をゆくマイペースな性格。

ロシア人の血をひいているクオーターで眉目秀麗な美青年で

地位もルックスも手に入れている完璧超人なのです。

 

※以下一部ネタばれの内容を含みます※

 

朝倉清彬の親友である多岐川嘉人(たきがわよしひと)は

伯爵家にも関わらず地位も出自も関係ない軍部での生活を

送っています。

一度決めたことは曲げない、とてもストイックな青年なのです。

ちなみにこちらも長身で堀の深い美青年設定。

彼が殺人事件に巻き込まれる所から物語は始まります。

 

ロマンスというタイトルから淡く甘い恋愛を想像するかもしれませんが、

内容は伏線に伏線が張られた本格ミステリー。

恋愛要素も含まれていますが、それもミステリーの

伏線の一部分です。

 

物語は清彬の探偵目線で進められ次第に真実へ近づきますが、

大正末期から昭和初期にかけての華族の振る舞い、

高等警察や軍部での、華やかさとは違う影の部分といった

悪い方向へ進んでいく日本を暗示させながら進んでいきます。

 

嘉人の妹、万里子が絡んだ上手くいきそうでいかない

恋愛の儚さ、寂しさもこの物語の特徴です。

誰が見てもお似合いのカップルなのに

清彬に流れている外国人の血がそれを許さない。

そして最後の最後に清彬が出した結論にもまた驚かされました。

 

昭和初期の鬱屈した雰囲気は大正時代末期にできた

治安維持法でも表現されていると感じました。

共産主義の思想を持っているだけでも捕まり、刑を受け罰せられる時代。

大正時代の自由闊達な雰囲気と比べられるのが良く分かります。

だからこそ大正ロマンに惹かれるんですけどね。

 

結局、犯人は清彬でも嘉人でもないわけですが

勘のいい読者の方なら途中で犯人が誰かは分かったかもしれませんね。

なんせヒントは伏線という形でいたるところに

散りばめられていたので。

よーく読み返してみるとあ~なるほど、と思えるところが

いくつもありました。

 

ちなみに私は最後の最後まで犯人は分かりませんでした(^-^;)

 

殺人事件も謎解きもあくまで物語の要素の一部。

周りの人間とは一風変わった生き方をしてきた清彬の心情や考え方、

万里子との手の届かないロマンスが中心の

まさに、大正の儚い恋を感じられる作品だと思います。

 

レトロな乗り物に乗りながら読むとさらに雰囲気に浸れると思いますよ。

 

 - 小説 , ,

フォレックス・ドットコムクチコミ情報