大正ロマンで非日常を~憧れのあの時代を旅するブログ~

華やかで儚い大正時代を味わいませんか。

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北村薫 街の灯

   

 

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現代ミステリー小説で有名な北村薫さんが昭和初期を舞台に描く

本格派ミステリー小説です。

 

前情報無しで読み始めたので最初は華族のお嬢様の日常の話かと思いきや、

主人公である「花村英子」がいくつもの謎を解決していく作品です。

こんな風に物語が進んでいくとは思いませんでした。

 

この小説で外せないのが新しくお抱え運転手になった「別宮みつ子」です。

今でこそバスや電車、タクシーの運転手でも女性が活躍していますが、

昭和初期ではそうそう認められることはなかったでしょう。

 

この女性が花村家に来てから英子の推理力も上がっていきます。

英子の才能もあるでしょうが、別宮みつ子との何気ない会話が

その推理力を高めるいい勉強になっているようにも見えます。

全て分かっていて自分で気付かせるように会話で誘導している。

みつ子の受け答えはそんな印象です。

 

 

英子の推理は全部で3つ。

身近に起きた不可解な変死事件、兄の友人から出された謎解き、

そして学友や親戚が絡んだ事件です。

この作品の魅力はミステリー小説でありながら推理の部分が

会話の一つとして違和感なく馴染んでいるところにあると思います。

 

他の推理小説やミステリーなら事件パート、推理パート、

謎解きパートと分かりやすい組み立て方になっていますが

この小説では事件が起こってもあくまで中心は会話や日常の生活。

“ミステリー要素を含んだ女の子の日常”を感じる小説の様に感じました。

 

年頃の女の子が色々なことに興味を持つ。それがたまたま身分ある家柄で

珍しい女性の運転手を雇っているだけの話ですね。

別宮みつ子(ベッキー)がもっと話の中心になるのかと思いきや

中心は英子で、重要な脇役に留められていたのが私には好感触でした。

 

どうやらベッキーが現われる作品がまだあるようなので

そちらでも楽しめるようですね。

今回は英子に主役を譲っていますがこの女性にスポットが当たった小説も

早く読んでみたいです。

 

 

文庫ではなくハードカバーの本で読んだので

所々挿絵がしてあるのが良かったです。

白黒で素っ気ない感じがまた、当時の情緒を感じさせます。

登場人物たちはあえて後ろ姿から書かれているのもいい演出だと思います。

 

昭和とは言っても大正の余韻が強く残る感じで書かれているのがうれしかったです。

大震災の後の復興が強く描かれていてポジティブなだけでなく、

一方では飢餓や貧困に喘いでいる人たちの事にも言及されているのは

時代背景上仕方のないことですが大事なことです。

 

 

この時代の小説はどうしても公家、華族、平民、軍隊等

家柄や身分とは切っても切り離せない関係になりますが

その分、今の時代では考えられない様なことが知れて楽しいです。

 

英子の叔父から聞かれる「おや、あれは何だろう」「どうして、あんなことになるのだろう」

という疑問を見つけるのは、実は想像以上に難しいことなのだよ、

という言葉を聞いてなるほど、そうだなぁ~と感心しました。

 

大正ロマンの事が知りたくて、雰囲気を味わいたくて観光に行ったり小説を読んだりしていますが、

私自身まだまだ一部分しか見れていない様な気がします。

当たり前だと所をじっくり観察して疑問を持つことで

これからもっと大正ロマンの側面を知れるような気がします。

 

続きの作品も早く読んでみたいですね。

 

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